新卒社会人1年目の日常(3)

前回→新卒社会人1年目の日常(2) - masaya1216’s diary

 

 同期がいないことで放心状態の僕は、課長に手を引かれ自分の部署へ案内された。そこは、30人程度の規模で、当然全員が上司だ。
 上司達の前に立ち、大きな声で挨拶と自己紹介をかます。そこに歓迎ムードは一切なくまばらな拍手が聞こえたかと思うとすぐに電話や雑音の声にかき消された。なんでも今年新しくできた部署らしく4月早々みんな忙しいらしい。
 いや、知らん。何でそんな所に新入社員を配属させるんだと頭に血が上った。血が上ったはよいものの、何をすればどこに行けば何も分からず、その場で爪をかんでいると、課長が自分の席へ行けと隅っこにある薄暗い席を指さした。

         

 ある上司Aに読んでいろと、分厚い資料を渡され目を通すが接続詞以外の全単語が理解できない。そこからの時間は一秒一秒がとても長く感じた。
 解読不可能な資料を読んでいるフリをしながら周りを見渡すとほぼ全員が自分の業務に一生懸命に取り組んでいる。一部、雑談を楽しんでいる人達もいる。僕を無視して。彼らも新入社員だった過去があるだろう。不安でいっぱいの新入社員。優しくしゃべりかけてほしい。質問してほしい。そんな僕の想いはそこにいる誰にも届かなかった。

         

 ひとりぼっち。陰で‘’空気‘’とあだ名をつけられ虐められている気分になった。その状況が数時間継続し、そのままお昼休みの時間になった。
 正直、ストレスで胃がキリキリしていて食べ物が喉を通る状態ではなかったのだが、やっと訪れた誰かと喋れる、仲良くなるチャンス。同期もしくは上司と一緒にご飯を囲み、センスあふれるトークで友達を作ろう。今度こそは必ず。
 そう強く意気込み、隣の上司Aにお昼はどこで食べるのか、社員食堂などはあるのか尋ねた。Aは首を横に振り、こう答えた。

家から持ってくるかコンビニで買って自分の席で一人で食べるのがスタンダードかな。

『きっつ、なんやねん。あと、スタンダードじゃなくて普通って言えや。』心の中で盛大なツッコミをしつつコンビニ飯を買い、薄暗い席で一人黙々とかきこんだ。周りにいた上司たちは、当然のように僕を会話にいれてくれることなく、一人で食べるコンビニ飯はいつもよりちょっとしょっぱかった。

 

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